模試できないのに過去問はできる…高校受験で本当に見るべき判断軸とは?

模試できないのに過去問はできる…高校受験で本当に見るべき判断軸とは?
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模試の結果を見るたびに、胸がざわつく。
判定は思ったより厳しく、点数も伸びていない。
それなのに、志望校の入試過去問を解かせてみると、意外なほど手応えがある。

「これは本当に信じていいの?」
「模試が悪い以上、やっぱり志望校は無理なのでは…?」

そう感じている親は、決してあなただけではありません。
高校受験では、模試の数字と過去問の出来が食い違うという状況が、想像以上に多く起こります。
そして多くの家庭が、その意味を正しく整理できないまま、不安だけを大きくしてしまいます。

この違和感には、必ず理由があります。
しかもその理由は、「努力不足」や「才能の限界」といった単純な話ではありません。
もし今、模試できないのに過去問できる状態に戸惑っているなら、
それは合格可能性を見極めるための重要なサインかもしれません。

この記事を読めば以下のことがわかります。

  • 模試と過去問の結果が食い違う「本当の理由」
  • 私立志望と公立志望で、判断の仕方がどう変わるのか
  • 「模試できない・過去問できる」が起こりやすいタイプの見分け方
  • 模試の偏差値よりも重視すべきポイント
  • 過去問の出来を、安心材料として見ていいケース・危険なケース
  • 志望校を下げる前に必ず確認すべき判断基準
  • 親の声かけ一つで、子どもの受験姿勢が変わる理由

模試の数字に振り回される受験から、
意味を理解して判断できる受験へ。

そのための視点を、ここから一つずつ整理していきます。

目次

模試では点が伸びないのに、過去問になると解ける理由

模試の結果が返ってくるたびに、思わずため息が出てしまう。
判定は厳しく、点数も伸び悩んでいる。
それなのに、志望校の入試過去問を解かせてみると、思っていたよりもできている。
このギャップに戸惑い、「本当に大丈夫なのだろうか」と不安になる親はとても多いです。

模試の数字は客観的に見えて、その影響力は想像以上に大きいものです。
学校や塾でも模試の結果を基準に話が進むことが多く、どうしても評価の軸になりがちです。
その一方で、過去問は「練習だから」「たまたまかもしれない」と、どこか信用しきれずに見てしまう。
この受け止め方の差こそが、不安の正体でもあります。

多くの親が心の中で抱えているのは、次のような疑問です。
模試でできないということは、基礎が足りていないのではないか。
過去問で点が取れているのは、問題が簡単なだけではないのか。
今はよくても、本番では失敗するのではないか。
こうした考えが頭を巡り、安心していいのか、危機感を持つべきなのか分からなくなります。

しかし、この状態にある家庭は決して少数派ではありません。
高校受験では、模試と入試過去問で結果が食い違うことは、実はよく起こります。
それにもかかわらず、多くの情報では「模試が悪い=志望校は厳しい」と単純に結論づけられがちです。
そのため、親の不安がさらに強まってしまいます。

ここで一度立ち止まって考えたいのは、なぜ親はここまで強く不安を感じるのか、という点です。
それは、模試と過去問が同じ物差しで測られているように見えて、実際には違う性質を持っているからです。
同じ点数、同じ順位でも、意味合いは大きく異なります。
この違いを整理しないまま結果だけを比べると、判断を誤りやすくなります。

また、親として一番怖いのは「見通しが立たないこと」です。
このまま勉強を続けて合格に届くのか。
それとも、どこかで大きな方向転換が必要なのか。
模試と過去問が正反対のメッセージを出しているように見えると、進むべき道が見えなくなります。

大切なのは、今の結果を無理にポジティブにもネガティブにも決めつけないことです。
模試で点が伸びないからといって、すぐに実力不足と考える必要はありません。
一方で、過去問が解けているからといって、何の問題もないと安心しきるのも危険です。

この段階で親が知っておくべきなのは、「なぜこのズレが生まれているのか」という視点です。
ズレの理由が分かれば、今後どこを見直すべきかが自然と見えてきます。
そしてそれは、合格可能性を冷静に判断するための大きな手がかりになります。

このあと、模試と過去問の違いや、結果の受け止め方について、順を追って整理していきます。
今感じている不安は、正しく理解すれば、必要以上に恐れるものではありません。
むしろ、今だからこそ気づける重要なサインである場合も多いのです。

まず整理したい前提|公立入試と私立入試で話が変わる

模試の成績と過去問の出来を比べる前に、必ず整理しておきたい前提があります。
それは、公立高校入試と私立高校入試では、試験の仕組みそのものが大きく異なるという点です。
この違いを曖昧にしたまま結果を見てしまうと、不安が必要以上に膨らんでしまいます。
まずは土台となる考え方を、ここでしっかり押さえておきましょう。

H3-2-1|公立高校入試は「都道府県ごとに問題が共通」

公立高校入試の最大の特徴は、原則として同じ都道府県内では同一問題が使われることです。
どの学校を受けても、同じ問題で合否が判断されるため、学校ごとの出題差はありません。
この点は、私立入試と大きく異なる重要なポイントです。

ただし、すべての都道府県が完全に一種類というわけではありません。
近年では、一部の自治体で問題が複数タイプに分かれていたり、学力層に応じた分割問題が導入されたりする例もあります。
また、年度によって形式が微調整されることもあり、細かな違いは存在します。

それでも基本的な考え方として、公立入試は「共通問題で公平に測る試験」です。
このため、その都道府県の出題傾向や形式に合わせて作られた模試を受けている場合、入試とのズレは比較的小さくなります。
自治体特化型の模試で点が取れないのであれば、本番でも同様に苦戦する可能性は高まります。

一方で、模試が全国向け・広域向けの内容だった場合、必ずしも公立入試の傾向と一致するとは限りません。
この違いを見落とすと、「模試できない」という結果を過剰に重く受け止めてしまうことがあります。

私立高校入試は「学校ごとに出題傾向が大きく異なる」

私立高校入試では、話がまったく変わります。
私立の場合、問題は学校ごとに作られ、難度や形式、配点まで大きく異なります。
同じ偏差値帯の学校であっても、求められる力はかなり違うことも珍しくありません。

そのため、私立志望の場合は、模試の結果と入試過去問の結果が食い違いやすくなります。
模試では点が伸びないのに、特定の学校の過去問になると安定して解ける、という現象は決して不思議ではありません。
これは、その学校の出題傾向や問題の癖と、子どもの得意な力が噛み合っている可能性が高いからです。

特に、過去問対策を進めるほど、点数は模試よりも入試に近い形で伸びやすくなります。
この場合、過去問の出来は偶然ではなく、相性の良さが数字として表れていると考えられます。
親としては「模試が低いのに大丈夫なのか」と不安になりますが、私立入試では過去問の意味合いが非常に大きいのです。

この記事で扱う「過去問」の範囲と考え方

ここで、この記事で扱う「過去問」について整理しておきます。
一つは、私立高校ごとの入試過去問です。
もう一つは、公立高校入試で使われる都道府県共通問題の過去問です。

この二つは、同じ過去問でも役割や見方が異なります。
私立過去問は「学校との相性」や「合格に直結する力」を測る材料になります。
公立過去問は「本番と同じ条件で、どれくらい得点できるか」を確認する指標になります。

この違いを混同してしまうと、判断を誤りやすくなります。
模試できないのに過去問できる、という状況が意味するものは、公立なのか私立なのかで大きく変わるからです。
まずは、どの入試を軸に話をしているのかを明確にすること。
それが、今の結果を正しく受け止め、合格可能性を冷静に考えるための第一歩になります。

【私立型】模試でできないのに過去問で解ける理由

私立高校を志望している家庭で特に多いのが、模試では結果が出ないのに、志望校の過去問になると安定して点が取れるというケースです。
この状況を見ると、「模試ができないのはやはり危険なのではないか」と不安になる親も多いでしょう。
しかし、私立入試の場合、この現象には明確な理由があります。
ここでは、なぜこのような差が生まれるのかを、構造的に整理していきます。

模試と学校別入試では「評価軸」が根本的に違う

まず理解しておきたいのは、模試と私立高校の学校別入試では、何を評価しているかが根本的に異なるという点です。
模試は、幅広い受験生を一つの基準で比較することを目的としています。
そのため、平均的な学力層を想定し、バランスよく出題されることが多くなります。

一方、私立高校の入試は、その学校が求める生徒像に合っているかどうかを見る試験です。
思考力を重視する学校もあれば、基礎の正確さを重視する学校もあります。
記述力を見たい学校もあれば、スピード処理を重視する学校もあります。

この違いにより、模試では評価されにくい力が、学校別入試では高く評価されることがあります。
その結果、模試では点が伸びないのに、過去問では解けるという状況が生まれます。
これは実力不足ではなく、評価軸の違いによるものです。

出題形式・頻出単元との相性が点数を左右する

私立入試では、出題形式や頻出単元に明確な特徴がある学校が多くあります。
毎年似た形式の問題が出たり、特定の単元が繰り返し問われたりすることも珍しくありません。

こうした傾向に合った力を持っている子は、過去問になると急に点が取れるようになります。
逆に、模試ではあまり出題されない形式や単元が得意な場合、模試では力を発揮しづらくなります。

親から見ると、「過去問ができるのは、問題を覚えているだけではないか」と感じることもあるでしょう。
しかし、初見に近い年度の問題でも安定して得点できているなら、それは単なる暗記ではありません。
その学校の出題スタイルと、子どもの思考の癖や得意分野が噛み合っている証拠です。

母集団の違いが判定を不利に見せることがある

模試の結果が厳しく見える理由の一つに、母集団の違いがあります。
模試には、志望校がまったく異なる受験生が同時に参加しています。
上位校志望の生徒も、基礎固め段階の生徒も、同じ試験を受けています。

その中で出される偏差値や判定は、あくまで全体比較の結果です。
私立志望で、特定の学校対策を進めている生徒にとっては、必ずしも実態を正確に反映しているとは限りません。

一方、過去問は、その学校を受ける人だけを想定した試験です。
母集団が限定されるため、「合格に必要な点数」という視点で自分の立ち位置を確認しやすくなります。
模試の判定が厳しく見える一方で、過去問では現実的な手応えを感じやすいのは、この違いが大きく影響しています。

過去問対策がそのまま得点に結びつきやすい理由

私立入試では、過去問対策が得点に直結しやすいという特徴があります。
出題傾向が安定している学校ほど、対策の効果がそのまま点数に表れます。

過去問を通じて、問題の読み方や時間配分、解く順番が身についてくると、本番に近い形で力を出せるようになります。
この積み重ねは、模試よりも学校別入試でこそ発揮されやすい力です。

模試では結果が出なくても、過去問で安定して点が取れている場合、合格に必要な力が徐々に整ってきている可能性があります。
大切なのは、模試の点数だけで判断せず、過去問での得点の安定性や再現性を見ることです。

私立志望の場合、模試は参考材料の一つに過ぎません。
過去問で見えている強みを正しく評価できるかどうかが、親の安心にも、子どもの自信にもつながっていきます。

【公立型】原則は起こりにくいが、例外は存在する

公立高校を第一志望にしている場合、「模試では点が伸びないのに、過去問では解けている」という状態は、私立型と比べると起こりにくいのが実情です。
それでも、ゼロかと言われれば決してそうではありません。
公立入試の仕組みを正しく理解すると、なぜ例外が生まれるのかが見えてきます。

ここでは、「基本的には一致しやすいが、条件次第でズレが生じる」という公立型特有の事情を整理します。

自治体特化型模試なら結果は入試に近づく

公立高校入試では、都道府県ごとに問題が共通であることが多く、出題形式や難度もある程度安定しています。
そのため、その自治体の入試を想定して作られた模試を受けている場合、結果は本番に近づきやすくなります。

自治体特化型の模試は、出題傾向や配点、時間配分まで入試に寄せて作られているため、現時点の実力を測る材料として有効です。
このタイプの模試で点が取れていない場合、本番でも同様の課題を抱える可能性は高くなります。

このため、公立志望の家庭では「模試ができないのに過去問ができる」という状態は、原則として起こりにくいと考えられます。
親が強い不安を感じるのも、この点を直感的に理解しているからです。

それでも差が出るケース(年度差・難易度差)

ただし、模試と過去問の結果が食い違うケースが完全になくなるわけではありません。
その一つが、年度ごとの難易度差です。

公立入試は安定しているとはいえ、毎年まったく同じ難しさになるわけではありません。
ある年は平均点が高く、別の年は急に難しくなることもあります。

もし、過去問として解いている年度が比較的易しい年に偏っている場合、「よく解けている」という印象を持ちやすくなります。
一方、模試は難度をやや高めに設定していることも多く、その差が「模試できない」という感覚につながります。

この場合、子どもの実力が急に伸びたり落ちたりしているわけではなく、問題の性質の違いが結果に表れているだけです。

極端に易しい/難しい年度の過去問が与える錯覚

過去問を解く際に特に注意したいのが、極端な年度を基準にしてしまうことです。
平均点が高かった年の問題は、全体的に取り組みやすく、得点もしやすくなります。

その結果、「このくらいなら大丈夫そうだ」と安心してしまうことがあります。
しかし、その感覚をそのまま本番に当てはめるのは危険です。

逆に、難度が高かった年の過去問だけを見て、「全然歯が立たない」と必要以上に悲観してしまうケースもあります。
公立型の場合は、複数年分を横断して見て、平均的な立ち位置を確認する視点が欠かせません。

一部の年度だけを切り取って判断すると、「模試できないのに過去問できる」「過去問は無理なのに模試は普通」といった錯覚が生まれやすくなります。

家庭採点と本番採点のギャップ

もう一つ、見落とされがちなのが採点基準の違いです。
家庭での自己採点は、どうしても甘くなりやすい傾向があります。

特に記述問題や途中式がある問題では、「考え方は合っているから」と部分的に点を与えてしまいがちです。
しかし、公立入試の本番では、採点基準が明確に定められており、想像以上に点が引かれることもあります。

家庭採点での得点と、本番想定での得点には差が出ることが珍しくありません。
この差を考慮せずに過去問の結果を見ると、「過去問はできている」という評価が実態よりも良く見えてしまいます。

公立型の場合、模試と過去問の結果が大きく食い違っているときは、実力そのものよりも、こうした条件の違いが影響していることが多いです。
原則は一致しやすい。
ただし、例外は確かに存在する。
この冷静な視点を持つことが、親にとっても子どもにとっても、無用な不安を減らすことにつながります。

タイプ別診断|あなたの子どもはどのケースか

模試の結果と過去問の出来に差があるとき、親として一番知りたいのは「結局、うちの子はどのタイプなのか」という点ではないでしょうか。
ここでは、公立・私立の区別を超えて、結果が食い違いやすい代表的なタイプを整理します。
当てはまるものを見つけることで、今後どこを重点的に見直すべきかがはっきりしてきます。

私立向きの力が強いタイプ

このタイプは、特定の出題形式や思考パターンに強みを持っています。
学校別に傾向がはっきりしている私立入試では、その力がそのまま点数に表れやすくなります。

一方で、模試のように幅広い単元から満遍なく出題される試験では、得点が安定しにくい傾向があります。
基礎は身についていても、出題のされ方が合わないと力を出し切れません。

親から見ると「模試ができない=危険」と感じがちですが、私立志望の場合は必ずしもそうとは限りません。
過去問で複数年にわたって安定した点数が取れているなら、志望校との相性が良い可能性は高いと言えます。

初見対応が弱く模試で崩れやすいタイプ

このタイプは、理解力や基礎力はあるものの、初めて見る問題への対応に時間がかかります。
模試では初見問題が中心になるため、焦りや戸惑いから点数を落としやすくなります。

一方、過去問では出題形式に慣れているため、落ち着いて取り組むことができます。
その結果、「過去問はできるのに模試では点が伸びない」という状況が生まれます。

この場合、実力不足というよりも、経験不足や練習の偏りが原因であることが多いです。
親としては、点数だけで判断せず、「どんな問題で止まっているのか」を見る視点が大切になります。

得点戦略・時間配分で損をしているタイプ

実力は十分にあるのに、点数につながっていないケースも少なくありません。
このタイプは、時間配分や解く順番がうまくいっておらず、取りやすい問題を落としてしまいます。

模試では問題数が多く、制限時間も厳しいため、この影響が顕著に出ます。
一方、過去問では事前に構成が分かっているため、比較的落ち着いて得点できることがあります。

親から見ると「実力はあるはずなのに、なぜ模試で低いのか」と疑問に感じやすいタイプです。
この場合、勉強内容よりも、試験中の動き方を見直すことで改善する余地が大きく残されています。

評価の見え方で過小評価されやすいタイプ

このタイプは、答案の内容そのものよりも、評価のされ方によって損をしやすい傾向があります。
模試では、記述や途中点が厳しく採点され、点数が伸びにくくなることがあります。

一方、家庭で過去問を解いた場合、「考え方は合っている」と評価されやすく、得点が高く見えがちです。
そのため、模試と過去問の結果に大きな差が生まれます。

このケースでは、どちらかが間違っているというよりも、見え方が違うだけという場合が多いです。
本番に近い基準での採点を意識することで、現実的な立ち位置が見えてきます。

模試できないのに過去問できるという状況は、一つの理由だけで説明できるものではありません。
どのタイプに近いのかを見極めることで、不安の正体が具体的になり、次に取るべき行動も明確になります。
親が冷静に状況を整理できれば、子どもも必要以上に自信を失わず、前向きに受験に向き合うことができます。

模試と過去問の「正しい使い分け方」

模試と過去問の結果が食い違うと、どちらを信じればいいのか分からなくなります。
しかし、どちらか一方が「正しくて」、もう一方が「間違っている」という話ではありません。
それぞれ役割が違うだけで、使い方を間違えると判断を誤ってしまいます。
ここでは、志望校の種類ごとに、模試と過去問をどう使い分けるべきかを整理します。

私立志望の場合の使い分け

私立高校を第一志望にしている場合、判断の軸は基本的に過去問に置くべきです。
私立入試は学校ごとに出題傾向がはっきりしており、模試よりも過去問の方が本番に近い情報を与えてくれます。

模試の役割は、あくまで基礎学力の確認と、弱点の洗い出しです。
模試で点が伸びなくても、過去問で安定して合格点に届いているなら、必要以上に悲観する必要はありません。

一方で、過去問だけを見て安心しきってしまうのも危険です。
模試で繰り返し落としている単元は、出題され方が変わると本番でも失点する可能性があります。
私立志望の場合は、「過去問で合格点に届いているか」と「模試でどこを落としているか」をセットで見ることが重要です。

公立志望の場合の使い分け

公立高校を志望している場合、模試の重みは私立よりも大きくなります。
特に、その都道府県の入試を想定した模試であれば、結果は本番にかなり近い指標になります。

この場合、模試で点が取れていないのに、過去問だけがよくできているという状況は慎重に見る必要があります。
過去問が特定の年度に偏っていないか、採点が甘くなっていないかを確認することが大切です。

公立志望では、過去問は「本番形式に慣れるための練習」として使うのが基本です。
模試で見えた課題を、過去問演習で修正できているか。
この視点で両者を行き来すると、結果の意味を正しく読み取れるようになります。

併願受験生が注意すべき落とし穴

公立と私立を併願する場合、模試と過去問の使い分けはさらに複雑になります。
よくある失敗は、どちらか一方の結果だけを見て判断してしまうことです。

私立の過去問がよくできていると、「もう大丈夫」と感じてしまい、公立対策が手薄になるケースがあります。
逆に、公立模試の結果が悪いと、私立の可能性まで低く見積もってしまうこともあります。

併願受験生の場合は、入試ごとに判断基準を切り替える意識が欠かせません。
私立は学校別の過去問を軸に判断し、公立は自治体特化型模試を軸に判断する。
この整理ができていないと、「模試できないのに過去問できる」という状況に振り回されやすくなります。

模試と過去問は、競い合う存在ではありません。
それぞれの役割を理解し、正しい位置づけで使うことで、今の結果が何を意味しているのかが見えてきます。
親が冷静に使い分けられるようになると、子どもに伝える言葉も変わり、不安よりも前向きな対策に意識を向けられるようになります。

模試の結果から合格可能性をどう判断すべきか

模試の結果が返ってくるたびに、「この成績で本当に大丈夫なのか」と不安になるのは自然なことです。
特に、模試では点が伸びないのに過去問は解けている場合、判断が難しくなります。
ここで大切なのは、模試の数字をそのまま合否に結びつけないことです。
合格可能性を考えるには、見るべきポイントを正しく整理する必要があります。

見るべきは偏差値より中身

模試の結果で真っ先に目に入るのが偏差値ですが、これだけで判断するのは危険です。
偏差値はあくまで全体の中での位置を示す数字であり、個別の入試にどれだけ対応できているかを直接表すものではありません。

まず確認したいのは、どの問題で点を落としているかです。
知識不足なのか、読み違いなのか、時間切れなのか。
この内訳によって、今後の伸び方は大きく変わります。

たとえば、応用問題で点を落としている場合と、基礎問題で落としている場合では意味がまったく違います。
前者であれば、対策次第で改善しやすく、後者であれば早めの立て直しが必要です。
偏差値だけを見て落ち込むよりも、答案の中身を冷静に見ることが、合格可能性を判断する第一歩になります。

志望校との距離を測る具体的視点

合格可能性を考えるうえで重要なのは、「今の成績が志望校とどれくらい離れているか」を具体的に把握することです。
そのためには、模試の判定よりも、得点の内容に注目します。

志望校の合格点と比べて、あと何点足りないのか。
その差が、どの分野で生まれているのか。
この二点を整理するだけでも、見通しは大きく変わります。

過去問で合格点に近い得点が出ているなら、その学校に必要な力はある程度身についています。
模試で低く出ている部分が、志望校ではあまり重視されない内容であれば、過度に心配する必要はありません。

逆に、過去問では何となく解けているものの、得点が安定しない場合は注意が必要です。
その場合、合格可能性は「今後の対策次第」で大きく変わる段階にあります。
距離を正しく測ることで、不安が具体的な課題に変わります。

志望校を下げる前に確認すべきこと

模試の結果が思わしくないと、早い段階で志望校を下げた方がいいのではないかと考えてしまいがちです。
しかし、その判断を下す前に、必ず確認しておきたいことがあります。

まず、模試がどの入試を想定した内容なのかを確認してください。
志望校の出題傾向と大きくずれている模試であれば、結果の受け止め方は変わってきます。

次に、過去問の得点が一時的なものなのか、複数年で安定しているのかを見ます。
安定している場合、それは偶然ではなく、実力として評価してよい可能性が高いです。

さらに、模試で落としている点が、今後の対策で修正できる内容かどうかを考えます。
知識の抜けや解き方の癖であれば、まだ伸ばせる余地は十分にあります。

模試できない、過去問できるという状況は、必ずしも不利な状態ではありません。
大切なのは、結果を一面的に見ず、合格までの距離と修正可能性を冷静に見極めることです。
親が落ち着いて判断できれば、子どもも安心して受験に向き合うことができます。

親ができる現実的なサポート

模試の結果が思わしくない一方で、過去問では手応えがある。
この状況に直面したとき、親の関わり方は子どものメンタルや学習効率に大きな影響を与えます。
励ましたい気持ちと、現実を直視させたい気持ちがぶつかり、どう声をかけるべきか迷う親も多いはずです。
ここでは、結果に振り回されず、受験を前向きに進めるための現実的なサポートを整理します。

模試結果への声かけでやってはいけないこと

模試の結果を見た直後は、子ども自身が一番落ち込んでいることが多いです。
そのタイミングでの親の一言は、想像以上に心に残ります。

まず避けたいのは、結果だけを切り取った否定的な言葉です。
「やっぱり実力が足りないんじゃないか」
「このままじゃ厳しいよね」
こうした言葉は、子どもにとっては努力そのものを否定されたように感じられます。

また、他人との比較も逆効果になりやすいです。
兄弟や友人、過去の自分と比べることで、子どもは自信を失いやすくなります。
模試の数字は相対評価であり、個々の受験にそのまま当てはめられるものではありません。

大切なのは、結果を責めるのではなく、事実として受け止める姿勢です。
「今回はこういう結果だったね」と一度受け止めた上で、次につながる話に切り替えることが重要です。

過去問ができている時の正しい受け止め方

過去問で点が取れていると、親としては少し安心します。
しかし、その安心が過剰になると、かえって判断を誤ることもあります。

まず意識したいのは、「できている理由」を一緒に確認することです。
たまたま易しい年度だったのか。
出題形式に慣れてきた結果なのか。
それとも、実力として安定してきているのか。

ここを曖昧にしたまま「大丈夫そうだね」と言ってしまうと、後で不安がぶり返します。
一方で、過去問の出来を過小評価するのも避けたいところです。
複数年にわたって安定した得点が出ているなら、それは確かな前進です。

親ができるのは、点数そのものを評価することではなく、再現性を見ることです。
同じ条件で解いたときに、同じような点数が出るかどうか。
この視点を共有することで、過去問の結果を冷静に活かせるようになります。

塾・学校への相談で確認すべきポイント

模試と過去問の結果が食い違う場合、家庭だけで判断しようとすると限界があります。
塾や学校の先生に相談することで、第三者の視点を取り入れることができます。

相談の際に重要なのは、「点数が低いのですが大丈夫でしょうか」と漠然と聞かないことです。
具体的な情報をもとに質問することで、より的確なアドバイスが得られます。

たとえば、
模試で落としている問題の傾向はどこか。
それは志望校でどれくらい重視されるのか。
過去問の得点は本番レベルとして見てよいのか。

こうした点を確認することで、今後の対策の優先順位がはっきりします。
また、志望校の合格ラインに対して、現状がどの位置にあるのかを聞くことも重要です。

親が冷静に情報を整理し、必要な確認を行うことで、子どもは安心して勉強に集中できます。
模試できない、過去問できるという状況は、決して珍しいものではありません。
親の関わり方次第で、その状態は不安にも、前向きな材料にもなります。
現実的なサポートを続けることが、最終的には合格への大きな支えになります。

模試できないのに過去問はできる… まとめ

この記事では、「模試では点が伸びないのに、過去問では解けている」という状況について、その原因と判断の仕方を整理してきました。
最後に、親として押さえておきたい重要なポイントを、分かりやすくまとめます。

  • 模試と過去問は役割が違い、同じ基準で比べるものではない
  • 模試が振るわないからといって、即座に実力不足と決めつける必要はない
  • 私立志望の場合は、学校別の過去問との相性が点数に直結しやすい
  • 公立志望の場合は、自治体特化型模試と過去問の整合性を重視する必要がある
  • 「模試できない・過去問できる」状態は、私立型では比較的起こりやすく、公立型では例外的に起こる
  • 重要なのは偏差値ではなく、どの問題で、なぜ点を落としているかという中身
  • 過去問は一年度だけで判断せず、複数年での安定性を見ることが大切
  • 家庭採点は甘くなりやすく、本番基準を意識して見直す必要がある
  • 模試と過去問の結果が食い違うときは、子どものタイプを見極めることが有効
  • 親の声かけ次第で、子どもの不安も学習効率も大きく変わる
  • 志望校を下げる判断は、模試結果だけで決めず、修正可能性を確認してから行う
  • 塾や学校には、点数ではなく「内容」を軸に具体的な質問をすることが重要

模試できない、過去問できるという状況は、不安になる一方で、正しく読み取れば合格へのヒントが詰まっています。
結果に振り回されるのではなく、意味を理解し、冷静に使い分けること。
それが、親にできる最大のサポートであり、子どもが自信を失わずに受験を乗り切るための土台になります。

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この記事を書いた人

■40代後半男性、2人の子を持つパパブロガー
■子育ての悩みから習い事選び、地域イベントや娯楽情報まで、幅広い情報をお届け
■学習指導歴20年:学習塾教室長・講師やオンライン家庭教師として多くの子どもたちと向き合う
■現在はオンライン家庭教師×ブロガーとして活動中
■目標は「すべての子どもが自分らしく学べる場所」の創造。一人ひとりに寄り添うオンライン塾経営も視野に入れている

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